ワンランク上の食卓にする「醤油」10選! 料理に合うのは濃口?淡口?基礎知識も!
日本で最も使用されている調味料のひとつである「醤油」。料理に使うのはもちろん、ラーメンなどのタレや蕎麦うどんに使うめんつゆのほか、スイーツにも活用されるなど、さまざまな用途で使われています。こうした日本で進化・洗練された醤油は今や世界中で人気の調味料です。今回は、たくさんある醤油の中から選び方のポイントや特徴を解説!ランキング形式のおすすめの商品も参考にして、自分の好みに合う醤油を選んでみてください。
- favy編集長 齋藤
- 30歳を超えてから、オシャレなお店よりも地元のシブいお店が好きになりました。 「昼下がりに昔からやってるラーメン屋さんに一人で行き、何年前からおいてあるのか分からないゴルゴ31を読みながら餃子とビールでまったり。」こんな休日が理想です。
5種類の「醤油」を使い分けよう
「醤油」と呼ばれているものは、「醤油」と「醤油加工品」に分けられます。
醤油は『JAS法(日本農林規格等に関する法律)』で厳密に原材料や製法が定められています。
上記に定められた以外の材料を使っていたり、「醤油」をベースにさまざまなものを加えたものが、めんつゆなどの「醤油加工品」です。商品ラベルの「名称」欄にそれぞれ記載されているので、チェックしてみてください。
そして、「醤油」はさらに原材料と製法によって五種類に分けることができるので、この違いを理解してぜひ料理でも活用してみてください。
①濃口醤油
実際、現在の醤油生産量の84%(2018年度)を占めています。
色や味、香りも濃いので「濃口醤油」と言います。
特にお刺身などの生臭みを消す効果が強いという特徴を持っています。
原材料は大豆と小麦を1:1の割合で使用し、塩分濃度は16%、旨味成分は1.5%以上が標準です。
製造期間は早ければ3ヶ月、普通は6ヶ月から1年で、長いものだと2年かかることがあります。
②淡口醤油
醤油は発酵させればさせるほど、色が濃くなるので、発酵させ過ぎないよう通常よりも塩水を多くし、低温で短期間の発酵で造ります。
色と香りが弱いため、ダシの旨味や香りを少量でも引き立てるのが得意です。また、色合いが淡く、食材本来の色を活かした料理ができます。
原材料は大豆と小麦を1:1の割合で使用し、塩分濃度は19%前後、旨味成分は1.2%前後が標準です。製造期間は6ヶ月ほど。醤油生産量の12%を占めています。
③たまり醤油(溜醤油)
原材料は大豆のみ、もしくは大豆と小麦を9:1の割合で使用しています。
大豆は発酵すると旨味になり、小麦は発酵すると甘味になるため、大豆の割合が多いたまり醤油は濃厚な旨味を持つ醤油になります。このような特徴を活かして、『ブリの照り焼き』などをたまり醤油で作ると美味しい仕上がりになります。地方によっては「さしみたまり」として、お刺身につける地域もあります。
塩分濃度は16%前後、旨味は1.6%以上で通常は3%前後にもなります。大豆のみのものは、グルテンフリーの調味料として海外でも人気が高く、小麦アレルギーを持った子どもがいる家庭では多く使われています。
④さいしこみ醤油(再仕込醤油)
醤油を発酵させる際は「もろみ」を造るのですが、これは大豆や小麦に塩水を入れて発酵させたものです。さいしこみ醤油は、この塩水の代わりに、醤油を使っているので「再び仕込む」醤油となるのです。
塩水よりも醤油を使った方が、その醤油に含まれている風味や菌などが加わり、通常よりも多くの旨味を持った醤油になります。そのため、まず1年かけて醤油を造り、さらにその醤油を使ってもう1年仕込むという、原材料も製造期間もほぼ倍になる、非常に贅沢な醤油です。
大豆と小麦は1:1(ベースになる醤油も含む)の割合で、塩分濃度は13%ほど、旨味は1.6%から2.5%以上にもなります。
色も味も香りもすべて濃厚ですが、塩分濃度が低いため口当たりが良く、料理だけでなくつけ醤油にも使われます。お刺身など料理にもつけ醤油かけ醤油にも使える万能の醤油です。
⑤白醤油
白醤油が黒くならない理由は、「淡口醤油」と同じく発酵期間を短くしたり塩水を多くする他、原材料に大豆をあまり使わないのがポイントです。
大豆は発酵すると旨味になりますが、その旨味は時間が経ったり加熱すると色が黒くなる化学反応を起こします(メイラード反応と言います)。
白醤油は大豆と小麦を1:9の割合で使うことにより、旨味を抑えてこの反応をなるべく起こさず、琥珀色に仕上がるのです。
小麦は発酵すると糖分になるため、白醤油には甘味が多く含まれています。
糖分濃度は12%から16%ほどですが、それを上回る17%の塩分濃度があり、きちんと塩っぱく感じます。さらに旨味は0.5%で、発酵期間は3ヶ月ほど。「淡口醤油」よりもさらに色が淡いので、食材の色を活かした料理に使ったり、茶碗蒸しや隠し味にも使われます。
原材料の「大豆」に注目しよう
そもそも大豆は「油」を豊富に含んでおり、その油はただ食べるだけでなく、しぼった油を「大豆油」として活用しています。「サラダ油」や、「マヨネーズ」や「マーガリン」といった調味料の原料として使われているほか、石けんや合成樹脂の原料になるなど工業製品でも活躍している油です。
「丸大豆」とは、この大豆油を絞らず、丸ごとの状態の大豆のことを指します。一方で、大豆油を絞ったあとのものは「脱脂加工大豆」と言います。
こう書くと、「脱脂加工大豆」は絞りカスなのかと思う方もいるかもしれませんが、ここでポイントになるのは、醤油の風味にとっては「大豆油」は必要ないどころか雑味になってしまうということ。
丸大豆で醤油を造った際に、製造の過程で出てくる油を「醤油油(しょうゆあぶら)」として取り除いています。
そのため、「脱脂加工大豆」の方が風味が悪くなるということはありません。むしろ、現在の脱脂加工大豆は技術の向上によりかなり旨味が残った状態になっています。油を抜いた隙間に菌がうまく入り込み、奥の方までしっかりと発酵できるため、脱脂加工大豆を使った方が丸大豆醤油よりも強い旨味を持たせられるようになりました。
一方の「丸大豆醤油」は、醤油油を取り除くとはいえ、ごくわずかな油が醤油の中に溶け込みます。油によって口当たりがまろやかになり、また油は香りがよく溶け込むので、香りがやや豊かになります。
・すっきりとした切れ味を持ち、旨味の強い「脱脂加工大豆」の醤油
・口当たりがまろやかで、芳醇な香りを持つ「丸大豆」の醤油
と覚えておくといいと思います。
濃口醤油の製法にもさらに種類がある?!
すべて発酵させて造るものを「本醸造醤油」といいます。江戸時代から続くシンプルな造りで、現在の濃口醤油の大半はこの本醸造醤油です。
本醸造醤油のように発酵で醤油を造り、そこにアミノ酸液を加える醤油もあります。これはアミノ酸液でかさ増しをしたわけではありません。ダシを加えたダシ醤油のようなイメージですね。こういった造り方の醤油を「混合醤油」と言います。
醤油選びのポイント!
①醤油の種類で選ぶ
濃口醤油、淡口醤油、たまり醤油、さいしこみ醤油、白醤油はそれぞれ味わいが大きく異なるので、まずはここを基準に選びましょう。
また、例えば濃口醤油を選ぶ場合、商品によって味が異なるので、甘いタイプが好きなのか、「脱脂加工大豆」を使ったものが好きなのか、「丸大豆醤油」が好きなのかを考慮に入れて選ぶのがおすすめです。
②容量や容器で選ぶ
醤油を購入する際に頭に入れておいた方がいいポイントは、「醤油は生鮮食品」であるということです。
特に「生」と書かれている醤油は、購入してから時間が経つと味わいが変化するので、普段から大量に醤油を使う人でなければ、小容量のものを購入して、使い切ったら新しい物を買う方がいつでも新鮮で美味しい醤油を味わえます。
新鮮な状態を保つため、「空気に触れない容器」に入っている醤油もあるので、こうした工夫が施されている容器の商品を選ぶのもおすすめです。
種類や料理で選ぶおすすめ「醤油」ランキング
1位
1867(慶応3)年創業。150年の歴史を誇る「井上古式醤油」
丸大豆仕込みで、大豆を通常よりも少し多めにしている旨味が強い濃口醤油です。酵母を加えず、昔ながらのやり方でじっくりと時間をかけて造ることで、豊かなコクと風味がありながら口当たりの良い醤油に仕上がっています。つけ醤油やかけ醤油に使うのはもちろん、煮物や煮付けに使うと風味や旨味が膨らみます。
主な原材料 | 国産丸大豆、国産小麦、食塩 | 容量 | 150ml/360ml/720ml/900ml/1800ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 濃口醤油 |
2位
江戸の伝統が生きる本醸造しょうゆ「本膳」
『ヒゲタ醤油』の定番にしてシンボル的な醤油がこの「本膳」です。旨味がとても強く、香りも豊かでバランスが良く、使い勝手のいい醤油です。さまざまなサイズがあり、「生」タイプのものもあるので、個人の使用頻度に合わせて選べます。
主な原材料 | 脱脂加工大豆、小麦、食塩、大豆 | 容量 | 200ml/360ml/450ml/720ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 濃口醤油 |
3位
芳醇な香りを楽しめる「超特選丸大豆うすくち 吟旬芳醇」
本来、淡口醤油は塩分が高いためそのまま食べるには塩辛すぎて向きませんが、この「吟旬芳醇」は塩分はしっかりとありながらも旨味がしっかりしているため、つけ醤油やかけ醤油にも活用できます。また、醤油のもろみと米糀で造った甘酒を加えることで、まろやかな甘味と香りが加わっているのもポイントです。煮物など、素材の持ち味や色合いを活かした料理にもぴったりです。
主な原材料 | 大豆、食塩、小麦、米、アルコール | 容量 | 400ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 淡口醤油 |
4位
深いコクとまろやかさの再仕込み醤油「鶴醤(つるびしお)」
再仕込み醤油である「鶴醤(つるびしお)」は、通常の1年よりも長い期間である2年かけて醤油を造り、その醤油を塩水の代わりにしてもう一度2年間かけて造るという、合計『4年』の歳月を経て造ります。じっくりと時間をかけた分、深いコクとまろやかさを併せ持ち味の強い食材との相性は抜群。マグロのお刺身の場合は生臭みを消して、魚の味を際立たせます。
主な原材料 | 国産大豆、メキシコ産大豆、小麦、食塩 | 容量 | 145ml/500ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | さいしこみ醤油(再仕込醤油) |
5位
琥珀色の醤油「足助仕込三河しろたまり」
愛知県産小麦と、伊豆大島の伝統海塩『海の精』が原料の「足助仕込三河しろたまり」。全ての素材が遺伝子組み換えの醤油です。また、化学調味料・保存料は一切使わず、製造過程で火にかけることのない、生の醤油というのが特徴的です。
主な原材料 | 小麦、食塩、焼酎 | 容量 | 300ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 小麦醸造調味料 |
6位
素材の旨味を引き出す甘口醤油「あまくておいしい さしみ醤油」
「あまくておいしい さしみ醤油」は九州の甘い刺身醤油の代表的な醤油です。刺身醤油に特有の深い旨みを引き出すため、丸大豆を使った本醸造仕込みです。容器は、新鮮密封ボトルを使用。空気が入りにくい密封ボトルのため、醤油の酸化を防いで美味しさが長持ちします。
主な原材料 | 脱脂加工大豆、小麦、食塩、砂糖混合ぶどう糖果糖液糖 | 容量 | 200ml |
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添加物使用の有無 | ◯ | 醤油の種類 | しょうゆ加工品 |
7位
杉の木桶で2年以上熟成のたまり醤油「伝承美濃地溜 みのび」
たまり醤油の真髄を味わうなら、味噌に近い風味がする「伝承美濃地溜 みのび」がおすすめです。豆の旨味と適度な酸味があります。また、旨味が凝縮されているため、濃口醤油よりも、2〜3割少なめにして使うのがポイントです。赤みのお刺身、魚の煮付け、照り焼きに最適です。
主な原材料 | 大豆、食塩、小麦、アルコール | 容量 | 300ml/500ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | たまり醤油 |
8位
鮮やかな色とおだやかな香り「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」
「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」は、『空気に触れない密封ボトル』を採用し、変化に弱い『生醤油』を一気に全国に普及させました。生醤油特有のバランスのいい、甘やかな香りが鮮度をキープするボトルによっていつでも楽しめます。つけ醤油にかけ醤油、普段の料理になど、何にでも使える万能な醤油です。
主な原材料 | 脱脂加工大豆、小麦、食塩/アルコール | 容量 | 200ml/450ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 生しょうゆ |
容器 | 密封ボトル | 食塩相当量(大さじ一杯あたり) | 2.4g |
9位
風味豊かな醤油減塩醤油「金笛 減塩醤油」
「金笛 減塩醤油」は造る際に塩分を減らしたものではなく、まずはしっかりと醤油を造り、そこから機械などを使って塩分を抜くという、手間を込めて作られた醤油です。もとの醤油の旨味がしっかりとしているため、塩分が8.6%ほどに(通常は15〜17%)なってもしっかりとした満足感があります。つけ醤油やかけ醤油だけでなく、普段の料理に使うと、塩分を半分近くカットすることができるのでおすすめです。
主な原材料 | 大豆、小麦、食塩、アルコール | 容量 | 600ml |
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添加物使用の有無 | ✕ | 醤油の種類 | 減塩醤油 |
10位
ふりかけタイプの新形状しょうゆ「パウダーしょうゆ」
「パウダーしょうゆ」は、醤油をそのまま粉末にしたもので、料理にふりかけて使います。さまざまな用途に利用できる上、パウダー粒状なので、液だれせずに使用でき、お弁当などに便利です。また、味が穏やかなので素材の味を活かしたい時に最適な醤油となっています。
主な原材料 | 大豆、小麦、加工でん粉、環状オリゴ糖、調味料(アミノ酸)、乳化剤、香料 | 容量 | 18g |
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添加物使用の有無 | ◯ | 醤油の種類 | ー |
料理や自分好みの味に合わせて醤油を選ぼう
醤油は和食の味わいの根本にあるので、少し変えるだけでも料理の味が変わることは少なくありません。
そのため、料理に合わない醤油を使うのは非常にもったいないので、今回解説した醤油の知識を参考に、料理や自分の好みに合ったものを探してみてください。
- favy編集長 齋藤
- 30歳を超えてから、オシャレなお店よりも地元のシブいお店が好きになりました。 「昼下がりに昔からやってるラーメン屋さんに一人で行き、何年前からおいてあるのか分からないゴルゴ31を読みながら餃子とビールでまったり。」こんな休日が理想です。